今日は僕がこんな本屋にいってみたら。のお話し。
北関東にある本屋・金曜堂は読みたい本が見つかる本屋との噂がある。どんな本屋にせよ、色んな本との出会いはいつも楽しい。
店に入るとまず、驚く。
目力の強い、子どものような女性が大きな声で
「金曜堂へようこそー」と叫ぶのだ。
その子の胸の名刺には南 槇乃とある。
か、かわいい。これは常連客になって彼女と仲良くなるしかない!と変な決意をしたのも一瞬だった。
金髪で角刈りでスーツの男が睨んでくる。とても怖い。あまり、目を合わせないようにしよう。
おや、ここはカフェが併設されているぞ。本を買ったらすぐ読みたくなる心理をつくつもりだな。
しかもカウンターには長身のイケメンがいるぞ。イケメンが作るコーヒーは美味しそうだが、彼と南さんが仲良しかもしれないと思うと、つい、嫉妬してしまいそうだ。
どこかに「イケメンの倒し方」なる本はないかなぁ、と店内を見回す。
店内はあまり広くはないが手書きのPOPやハードボイルドフェアなどもやっていて、店員さんの本への愛情が伝わってくる。
悩んだ末に田丸雅智さんの「海色の壜」を買うこととした。ショートショートの名手で星新一さんをリスペクトしながらも越えたがっているところが、好感が持てる、今注目してる作家の本だ。
南さんに会計して欲しいと思いながらレジに向かうと、バックヤードからメガネをかけた男が現れた。
ついていないが、まだチャンスはあるかもと、買った本を手に併設のカフェで本を読むことに。
さあ、ここでは「海色の壜」を楽しみながらも店の情報収集だ。
まずはカフェ。例のイケメン君は蝶ネクタイをつけててとてもオシャレだ。ピラフなどの軽食も彼が作るのだろうか。だとするととても、勝てそうにない。
涼しげな顔をしてるから、女性に興味が無いことを祈ろう。
次に店内の声に耳を傾け、横目で様子を伺うこととする。
なんと先ほどの金髪で角刈りのスーツの男はお店の方だったらしい。「ヤスくん」とか時々「オーナー」とも聞こえる。
彼がオーナーだとすると、絶望的に客商売に向いていない。南さんがいなかったらすぐに潰れるぞなどとお節介なことを考えてしまう。
南さんはメガネの店員から「南店長」と呼ばれていた。そうか彼女が店長か。ここで働きたくなったな。
「倉井くん」と呼ばれるメガネの店員は生き生きと働いているな。メガネをかけているだけで、誠実そうに見えてしまうのは僕がメガネ族だからかもしれない。
しかも、よく観察すると倉井くんが南店長を見るとき、目がハートになっているぞ。
やれやれ、しょうがないけど南さんのことはあきらめることにしよう。倉井くんにはぜひ、頑張って欲しいものだ。
それに、こんな辺境の地にある本屋は通えないしね。と、これは防衛機制でいうところの合理化かななんて考えながら、店を出る。
さて今回は僕が本書の舞台となる金曜堂に行ったらどうなるかで書きました。
あまり本の紹介をせずにすみませんでした。いつもこんな邪なことを考えている訳ではないですよ。一応弁明しておきます(^_^;)
本書は実存する本が関わる日常の謎系ミステリーです。謎が解けたとき、ほっこりします。
あと、ハルキ文庫から出ているにも関わらず、他の出版社の本を扱っているのが楽しいです。読書会ではたくさんの本の解釈を聴くことができます。
店内の恋模様も要注目です!
シリーズは全部で4作出ています。1冊目は春、次いで夏、秋、冬、と時間が経過します。
一年経つときの彼らの関係性もとても楽しいです。