「放送禁止」 長江俊和」
皆様は放送禁止というドラマを知っていますか。
深夜砂嵐を1時間眺めていると画面に自分が映り、それは段々と年老いていき、最後には「お前は〇〇〇〇年〇月〇日、〇〇で死ぬ」とだけ話し、また砂嵐に戻ります。
そこまでを最後までみていた人は、
とても暇人なのでした。
今のは「放送禁止」とは全く関係ない僕の創作ホラーです。
超常現象も怖いですが、1番怖いのは人です。
それは本書でも感じることができました。
ちなみに「放送禁止」はシリーズもので、深夜ドラマでした。
僕は本書でそのドラマを知り、レンタルで観てみました。
フェイクドキュメンタリーと呼ばれるそのジャンルはとても新鮮で怖さもありましたが、それと同時に感心もありました。
それは謎の深さにです。
ただ、やはり小説の方が性に合いました。
映像だと細かなヒントを見落としてしまいますが、小説ではヒントを隠せません。
謎が一人で解けなくても大丈夫!ネットでは熱狂的なファンが真相を教えてくれます。僕も恥ずかしながら何度もお世話になっています。
長江俊和さんの本は1度目は何も考えずに物語を楽しみ、ネタバレを読み、再度読み返してはなるほど〜と、唸るのが楽しいです。
さて本書は3つの話からなる短編集です。
どれもテレビのディレクターがノンフィクション作品を作るため、取材しているという内容です。ただせっかく撮ったドキュメンタリーがなんらかの理由で放送できなくなった作品を集めたものです。
どれも物語自体が怖いことに加え、隠された謎を解くとポイントがもらえます。ではなくて、更なる恐怖が襲いかかります。
本文のいたるところにヒントが隠されているので、集中力が必要となるのです。
本書の第2話は「ストーカー地獄編」だ。
ここではストーカーの被害に苦しむ人を取材している。
追い詰める人と追い詰められる人のやりとりだけでも恐ろしいが、まだ真実は隠されている。
僕はやはり隠された謎を見落としてしまうのだが、本書には章の最後にヒントがある。これは素材(本文)にあったものの確認だ。
第2話のヒントは
《新幹線がパパを殺したの。ねえママ。》だ。
この意味に気付いた時、怖すぎてしばらくは眠れなかった。
第3話は「しじんの村」だ。
キャンプ場のような村で生活する十数名の男女はいじめやリストラなどが原因で社会生活ができなくなった人たちだ。
この時点で怖い僕はビビリなのかもしれない。
しじんの村の村長を中心にした取材の最中、自殺者がでてしまう。この村ではよくあることなのだそう。
村の建物には村長が書いた詩が飾ってある。ここまでの流れを考えると何か謎がありそうだ。
とても怖い一文を紹介したいが、それはネタバレが過ぎるな。
僕はこの謎にいち早く気付いたぞ!それはとても怖かった。
長江俊和さんは映像作家でも知られていて、あの低予算ながらとても怖い映画「パラノーマルアクティビティ」の監督も務めています。
長江俊和さんは僕に新しいジャンルの恐怖を教えてくれた大好きな作家さんです。
いつか僕の創作ホラーも怖いと言われるようになりたいと思います!