日々の読書のおともにどうぞ

僕がおすすめする小説やエッセイなどを思うがままに紹介していきます。
書籍が映像化した時のドラマや映画などの脱線話も多いです。

ノンフィクション

「19歳 一家四人惨殺犯の告白」 永瀬隼介

本書は新潮社で発売されたノンフィクションの単行本の文庫版だ。単行本を出してから四年後に文庫を出しているため、単行本を犯人が読むシーンが追加されている。

新潮社で単行本が出版されたものの、角川文庫から出版されている。文庫化にあたり、出版社から反対の声が大きかったのだ。

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熊には気をつけて(熊の出てくる小説3つ)

ぶたぶたシリーズに今頃ハマってしまい、何故か熊について書きたくなりました。

熊って不思議な動物ですよね。

ヒグマは恐ろしい。プーさんはかわいい。シロクマは動物園のスターです🧸熊園では熊同士の小競り合いに客が目をキラキラとさせています。

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天狗の正体はあいつ「TENGU」柴田哲孝

先日読書会に参加して皆がビジネス書を紹介してるなかこの本を紹介してきました。

「この本の犯人は天狗なんです。鼻が赤いほうじゃなく烏天狗の方です。天狗の正体がとてもリアリティがあって面白いんですよ!」と訴えて少し興味を持っていただいた、と思い込んでいます。
今思うともっとうまく紹介できたなあと反省ばかりありますけど(^_-)-☆

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「謝るなら、いつでもおいで」川名壮志

副題「佐世保小六女児同級生殺害事件」

 

《「私がカッターで切りました」。幼さを残す少女は動揺する大人を前に淡々と告げた。2004年長崎県佐世保市。小六の女児が白昼の校舎内で同級生の女児を刺殺した。11歳ーー少年法すら適用されず人殺しの罪に問うことはできない。だが愛するものを奪われた事実は消えない。苦悩する被害者家族、償いきれない業火を背負った加害者家族・・・それぞれの心のひだを見つめたノンフィクション》

始めに背表紙から概要を。

 

著者の川名壮志さんは新聞記者だ。

ある日彼は上司から突然の電話を受ける。

「娘が、死んだ」と。

近くの小学校には救急車が呼ばれ、支局内も慌ただしくなる。

被害者は上司の娘ということがわかる。娘さんと川名さんは顔見知りだった。

それから川名さんは事件の真相を掴むため、奔走することになる。

 

被害者の実名は公表され、被害者の父は記者会見を開く。

加害者の人権は徹底的に保護され、名前の公表もされず、更生を促すところにさえも行かない。再教育という形で施設に保護させる。

加害少女は成人しても、遺族に謝罪していない。

この事件は後に、日本の公教育に多大な影響を与えた。

 

本として、第一部は事実の積み重ねだ。

たくさんの証拠、被害者の人柄、加害者と被害者の関わりなど、事細かに記されている。

第二部はインタビュー集だ。

【被害者の父として】【加害者の父として】【被害者の兄として】が載っている。

最後はエピソードだ。

 

タイトルは被害者の兄の言葉だ。

事件のとき、兄は14歳だった。

その日、突然、校長先生にに呼ばれ、Yahooニュースの記事を読ませられる。

すでに、妹の名前がニュースになっていたのだ。周りの教師が涙を流す中、彼はすぐには泣けなかった。

加害者の少女とは面識があった。一緒にスマブラで遊んだことがあったのだ。そして、彼女がやったと思った。妹と彼女はケンカしていたのだった。

ときは経ち、兄は高校を中退し、診療所をめぐるようになる。

少年法で守られている加害者を憎む気にはなれない。加害者は明らかに殺意を持ってしたことだが、罪の重さは理解できないと思ったから。加害者の親には怒りはあるが、憎むのは違う気がする。なんかイライラする。自分の中にだけストレスが溜まる。

さらにときは経ち、新しい高校では何度も単位を落としながらも大学へ進む。

高校ではドロップアウトした奴らが集まっていたから、彼女の気持ちが少しわかった気がした。行き過ぎちゃった子だったのかもなって。

《僕、あの子に同じ社会で生きていてほしいと思っている。でも、それにはまず、謝罪が必要だろう、とも思う。》と兄は語っている。

《相手にウジウジと悩まれるのも嫌なんですよ。お互いに引きずりたくないというか。こちらも、今までのことを断ち切って前に進みたいという思いがある。諦めじゃなくて、結果として僕が前に進めるから、一回謝ってほしい。謝るならいつでもおいで、って。それだけ。》

こう思えるまでにどんな思いがあったのか、はかり知ることは、僕にはできない。

 

加害者には様々なことが言われている。

SNSにハマっていただとか、バトルロワイアルが好きだったからとか。

それらは要因にはなるかもしれないが、ヤバいやつを定型化したくなるのは危険な発想だとも思う。みんながみんなヤバいやつというのは僕の持論だ。

警察官よりも、裁判官よりも、著者の川名さんは真実に迫ろうとしている。このような本を読むとマスコミの悪口は言えなくなる。

エピローグ、川名さんはすでに成人している加害少女によく生きてほしい。と語っている。

《原稿はここで一度、区切りをつける。でも、この現実の物語の物語は閉じられることなく続いていく。物語は、たぶん、まだ終わらない。
それでも、僕はあの日のお兄ちゃんの言葉を忘れない。ずっと胸に刻みつける。謝るなら、いつでもおいで。》




 

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